外に出て、太陽にあたりながら禅を組んでみたんだ。


なんかただボーッとしてみたくて


目を閉じると妙に耳が敏感になって、

人の歩く音や、車のエンジン音、

犬がはふはふ言う音が聴こえて、


そのうちその音と、まぶたの内側に見える景色だけに集中するようになって、

俺、木になったんかなって思うようになった。


木になった僕は、光合成していると、

昔の色んな記憶が溢れてきて、

樹齢まだ25年そこそこの木が、

色んなことを思い巡るようになった。


根っこはどこだ、この時期はさむいけど耐えしのいだな、暑くて倒れそうなときもあった。でもこの季節を超えたから、こんな根っこがはれたんやなって。


まだ芽が出たばかりの頃、

僕の気持ちは快か不快かのふたつしかなかった。随分いろんな枝葉が生い茂ったものだ。


初心にかえれば、その双葉が根本にある。